オリジナル小説 悪魔と青年

2020年9月29日

あらすじ:笹久保沖斗(ささくぼおきと)20歳はある日、悪魔にとりつかれてしまう。

第一章 悪魔との出会い

1

あるファミレスで2人は食事をしていた。

かすれた声で「ぼくに悪魔がとりついてるんだ」と笹久保(ささくぼ)は友人の高知貝秋(こうちかいあき)に言った。

「ウソだろ!証拠を見せてくれよ」

「いいよ」と笹久保は言うと、「サタン出番だ」心で思う。

すると、笹久保の目が見開き瞳の色が青になって「なんで信じねぇんだよ」と恐ろしい声と口調で言った。

「わかった信じるよ」と高知は観念した。

「なんでそうなった?」と聞くと

元に戻って「少し前だ・・・」と笹久保は悪魔との出会いを話しはじめた。

2

笹久保は自分の部屋でゲームをしていた。

「なんで勝てないんだ」と言ってゲームを辞めてボーッとしていた。

すると突然、笹久保の体がブルブル震え出した。

そのまま気を失ってしまった。

起きて病院で検査をしたが何も異常はなかった。

家に帰ると突然、笹久保に「余計なことすんなよ」と話しかける声があった

周りをキョロキョロみるが誰もいない。

「何、キョロキョロしてんだよ見えるわけねえだろ」とまた声がした。

「どこにいるの?」と少し怯えた声で質問すると

「お前の体だ。俺の名前はサタン、悪魔だ」と言った。

「神父のところに行って、悪魔払いしてもらう」と強気で言った。

「やってみろ、追い出すのは無理だ」

翌日、笹久保は悪魔払いをやった。

「ああ、これで安心だ」

「おい!よくも悪魔払いしやがったな仕返ししてやるよ」とサタンは言った。

その日、笹久保は学校で授業を受けていた。

「この問題、じゃあ笹久保わかるか?」と大岡(おおおか)先生が聞いてきた。

「あい!」と返事をして立って答えようとするとガタガタ震えだした。

「お、おいヤバイよな」とクラスメイトが言う。

大岡先生が「大丈夫か!」と言って笹久保に近寄ってくるが「うるせぇ!」とサタン笹久保が言った。

「なんだ先生に向かってうるせぇはないだろ、廊下に立ってろ!」

「俺の名前はサタン。悪魔払いの仕返しのために出てきた」

「何、わけの分からん事を。保健室に行け!」

「仕返しはもう十分だ」と言うと笹久保はその場で倒れた。

早退して家にいた笹久保は「サタン、よくもやったな」と怒った。

「お前が悪魔払いなんかするからだ。またやったら今回以上の仕返しをするぞ」

「サタン、お前をコントロールしてやる」と言うと、笹久保は十字架を取り出して額に当てる。

「あぁぁぁぁ!」とサタンの叫び声が聞こえる。

「わかった、お前の好きなようにしろ」

「ボクの体から出てけ」と強く言った。

「俺は特殊な悪魔で、一度とりついたら払えない」

「さっき払えそうだったぞ」

「神父の悪魔払いはまったく効かないが、とりついた人間の悪魔払いは苦しい」

「なるほど、サタンの力は何かに使えそうだ。どうやって呼び出せばいい?」

「サタン出番だ。と心で思えば出る事にする」

笹久保はサタンをコントロールできるようになった。

3

話を聞き終えた高知は何がなんだか分からずキョトンとしていた。

「まさか悪魔に取り憑かれるなんてな」と素直に受け入れた。

「原因は不明だけど、コントロールできるから悪くない」

「そろそろ帰るか」と高知が言った。

高知は笹久保とは別のクラスの友人だ。

第二章 サタンの力

1

笹久保はクラスに友達が1人もいなかったが、本が友達だった。

今日も休み時間に本を読んでいた。

「おい、悪魔野郎」とからかってきたのは、クラスメイトの高木時斗(たかぎときと)。

人にちょっかいを出し過ぎて嫌われた男だ。

「おい、聞いてんのかよ!」と言って、笹久保が読んでいた本をとって床に投げつけた。

笹久保は黙って床に落ちた本を拾おうとすると、高木は本をふん付けた。

読んでいた本は一番最初に買った本で笹久保にとってはとても大切なものだった。

高木はふん付けた本を手にとって笹久保に見せた。

すると突然、笹久保の目つきが変わった。

「さっきから何してんだよテメェは!」とサタン笹久保が言った。

あまりにも恐ろしい目つきと態度に高木は逃げ出した。

家に帰った笹久保は「どうして勝手に出てきた?」とサタンに質問した。

「あんなことされたら出てくるだろ」

「心で出てこいって言ったら出るんじゃないのか」

「俺の気分次第で出てくることもある。お前が何か経験することは全て経験する」とサタンは説明した。

「あの時出てきてくれてスカッとした。悪魔でも人間と同じように感じるんだな」

「また勝手に出るかもしれん、お前自信でなんとかできるなら出ないが」

2

その日、笹久保はアルバイトをしていた。

タバコを買いにきたお客がいた。

「タバコの銘柄ぐらい覚えとけよこのバカ!辞めちまえ!」

「はい、すいません」と笹久保は謝った。

「そんなじゃ足りねぇから土下座しろ!」

「うるせぇよジジイ、お前みたいな客はいらねぇよ出てけ!」とサタン笹久保は言った。

お客は恐ろしくなって逃げて行った。

「助かった」と笹久保はサタンに礼を言った。

すると「何、今のぉー」とびっくりした様子で店長の野枕高尾(のまくらたかお)が声をかけてきた。

「無意識にああなっちゃうんですよ」と説明した。

悪魔にとりつかれたとはとても言えない。

「君みたいな人は初めて見たよ。あれは見てるこっちも嫌な気分だったから言い返してくれてスカッとした」

「いえいえ」と笹久保は言うと、バイトを終業時間までやった。

3

笹久保は就職活動に追われていた。

「悪魔払いでも目指そうかな、サタンみたいな特殊な悪魔を払えるように」

「やってみろ」とサタンは鼻で笑った。

「声優になりたいんだ」

「いいんじゃないか」

笹久保はかなり前から声優に憧れていた。

一人暮らしの笹久保は、親に「声優になる」と言う夢は言っていない。

「そんな馬鹿げたこと言ってないで、大企業に就職しろ」と言われるのが分かっているので言わない事に決めた。

サタンにとりつかれてから、笹久保は「サタンの力強い声を借りれば声優を目指せるのでは?」と考えていた。

明日、オーディションに行く事に決めた。

オーディション会場につくと、すぐに自分の番が回ってきた。

オーディションでサタンの力強い声を使おうとしたがサタンは出てこなかった。

結果は落ちてしまった。

帰り道「何で出てこなかった」とサタンい問い詰めた。

「あれは、お前自信の力でやるもんだ」

「分かった」と笹久保は不満そうに言った。

それ以降かなりのオーディションを受けたが全て落とされてしまった。

「次で最後にする。ダメだったら諦める」と覚悟を決めた。

オーディションが始まっていつも通りやろうとすると、サタンが出てきていつもより重みのある声でオーディションを終えた。

審査員も「おおこれは!」というように驚いた様子だった。

結果は合格だった。

大喜びの笹久保は家に帰っても興奮していた。

「良かったな」といつもより弱い声でサタンが言った。

「どうしたんだ?サタン」

「俺にはあと一つ秘密がある」

第三章 サタンの秘密

「何だよ秘密って」

「俺はもう少しで、いなくなる」

「どういう事だ!?」

「俺はパワーを使うほど、つまりお前に呼び出されたりすると寿命が縮む」

「勝手に出たきりしただろ、どうしてだい?」と笹久保は質問した。

「お前がいつまで立っても言い返さないから、我慢できなかった。寿命は関係ない」

「あとどれくらいで、いなくなる?」

「もうすぐだ、オーディションの時に最大のパワーを使った」

「何でそんな事した?」

「お前の夢を応援したくなった」

サタンはいつしか、笹久保の力になりたいと考えるようになった。

「いなくなったらどうなる?」と泣きそうに言った」

「お前の体に悪魔はとりついてない事になる。前から思ってた事だろ?」

「もう、いなくなるんだな」

「そうだ」

サタンはゆっくりと笹久保の中で消えていった。

第四章 その後

サタンがいなくなってから、いつもと同じ生活を送っていた。

オーディションに合格した笹久保は、声優の道を歩み始めた。

あるキャラの声優をやる事になったが、悪魔のキャラだった。

笹久保はアフレコをはじめた。

その声はまるでサタンのような声だった。